関町
チャットをしている嘉門と関町。
関町「で?連絡とかはしたのかって」
嘉門「してない。正確にはできない」
関町「何で?」
嘉門「繋がらないんだよ、今までの番号に」
関町「IDで繋がるこの時代に番号が繋がらないって何だよ。ベイビちゃんはさ」
杏「ベイビちゃん?」
と、杏がチャットを覗き込み嘉門を見つけて嬉しそうな顔。
杏「カモン!」
嘉門「あ、杏。元気か?」
杏「元気だよ。カモンは?」
関町「嘉門は元気がないんだよ。ベイビちゃんに相手にしてもらえなくて」
小春「さっきからベイビちゃんって何?」
関町「ベイビだよ。米にしっぽの尾と書いてベイビ」
小春「こめお、ね。何だ市子のことか」
関町「タツが今日の朝、ベイビを見かけたんだってさ」
小春「へー。どこで?」
嘉門「山内駅で。なんか調子悪そうだったけど」
小春「へー。で?声かけたの?」
関町「それがかけてないんだとさ」
小春「ありゃりゃ」
杏「ありゃりゃ」と小春の真似をする。
小春、杏を見てニッコリ笑う。
その姿を見て、嘉門はいつもかわいいなと思う。良いなとさえ思う。
そして、その姿を見るたびに、市子とのやりとりを思い出す。
あの時、一緒に子どもを作ろうという道を選んでいれば自分と市子もこんな風に笑ってたのだろうかと思う。
関町「でな、小心のところ悪いんだけどそろそろ飯だから切って良い?」
嘉門「いやちょっと待てよ」
杏「カモン、寂しいの?」
小春「良いよ、繋いで食べても」
嘉門「いやだから待ってって。こっちもまだ仕事が残ってるのに、そこを無理やりチャットを繋いできたのはオタクの旦那さん何だよ」
小春「あ、そうなの?ってかもう座ってるんだけど」
関町、杏と一緒に食卓に座っている。
嘉門「もういいよ。じゃあ切るね」
小春「うん。あ、嘉門くん。市子のことまだ気になる?」
嘉門「・・・あ、いや。・・・何で?」
小春「ううん、別に。じゃあね」
嘉門「あ、うん。じゃあ」とチャットを切る。