#2 小春
驚いて急いでディスプレイの前に行く嘉門。
小春「おーい」
嘉門「あれ? 何でいるの?」
小春「何でって家だし。嘉門くん、何だか久しぶりだねぇ」
高校時代から変わらないといえば嘘になるけど、年相応というか、とても自然で綺麗な歳の重ね方をしている小春に今でも若干のときめきを感じるのは正直な心だろうと、小春を見るといつも思う嘉門。
嘉門「うん、久しぶり。小春ちゃん、杏ちゃん寝かしつけてるんじゃなかったの?」
小春「そうそう、あの娘すぐ寝るから。だから私も一緒にミランダカーの話でも聞こうかなって思って」
と高校時代、いやそれ以降もきっと何人もの男性陣を虜にしたであろう笑顔を見せる。
嘉門「・・・あ、そうなの?小春ちゃん、ちなみにいつからいたの?」
小春「うん?ついさっきだよ。元カノと会うイベントの話くらいから」
嘉門「・・・あ、そう」
小春「ちなみにトシくんまだまだかかるよ」
嘉門「え?何で?」
小春「スマホ持ってったから。あれは大だね」
嘉門「いや、友達とチャットしてる最中に大いく?しかもサラッと」
小春「まぁトシくんだからね」
嘉門「いや、そうだけど。・・・小春ちゃんはよくやってるね、あいつと」
小春「まぁ家族だからね。嘉門くんはどうなの?」
嘉門「どうって?トイレ?」
小春「違うよ。こっち(と、小指を立てる)」
すべてとは言わないが、年々確実に小春ちゃんの仕草が関町に似てきた気がしている嘉門。小春ちゃんはもちろん、関町もなぜか下品には見えない特徴があるので、下品ではないのだが。
嘉門「・・・うーん、別に」
小春「ふーん、別にかー。じゃあ行くの?インド」
嘉門「インド?行かないよ」
小春「そうなの?元カノに会いに行けばいいのに」
嘉門「元カノ、インドにいないし」
小春「そうなの?もしかするとトシくんと同じテレビ観てて、もしかすると嘉門くんに会えるかも!ってもしかするとインド行ってるかもよ?」
嘉門「もしかすると、がすぎるでしょ」
と笑いつつ、心のどこかで本当に会えるならインドでもどこでも行こうかなと思う嘉門だった。
関町「何?何の話?って言うかなんでお前ここにいんの?」と小春に話しかけながらディスプレイの前に戻ってくる。
嘉門「小春ちゃんもミランダカーの話聞きたいんだって」
関町「え?は?」
小春「で?ミランダ、前から見たらどうなのよ?」
関町「え?嘉門、お前なに余計な事言ってんだよ」
嘉門「とりあえず俺今日は寝るわ。おやすみー」
関町「おい!ちょっと待てよ」
と、騒いでる関町を他所に、小春と手を降りチャットを切る嘉門。
そして、別れたイチコのことを思い出す。