市子の夢
嘉門はスマホで「インド 元カノ」で検索している。
『インド人の元カノに振られました』『紳士的なインド人エンジニアとの一夏の恋』など、関町の言っていたような元カノと会うイベントは出てこず、馬鹿らしくなりスマホをオフって寝る。
そして、市子の夢を見る。
場所は嘉門の家。ソファーに座っている市子と立っている嘉門。
嘉門「だからそういうわけじゃないって」
市子「いいよ。大丈夫。ありがとう」
嘉門「だからそういうわけじゃないって」
市子「・・・」
嘉門「だってさ、不妊治療って市子も大変なわけじゃん。俺は別に子どもがいてもいなくても市子と居れればそれでさ」
市子「うん、わかった。ありがとう」
嘉門「いや、だからさっきから何なの?そのよそよそしい感じ」
市子「よそよそしい?わたし?」
嘉門「そうだよ」
市子「・・・たっちゃんってさ、わかったようなこと言うよね」
嘉門「え?なに?」
市子「こういうの何ていうのかな、御託?何ていうかさ、自分がまだ経験してもないことをあれこれ勝手に想像してさ。その結果さ、よし行こう!って前に進むんなら良いんだけどさ、結局行かないもんね。進まないもん」
嘉門「別にそういう・・・人ってそういうもんじゃないの?」
市子「まぁそうだよね。そうだと思う。でもさ、自分だけのことと相手もあることってあるじゃん」
嘉門「それって俺が不妊治療しないからってこと?」
市子「そうなのかな?そうか。そうだから思うんだろうね」